月の観光資源化を目指す第1回「全国名月サミット」が23日、富山県黒部市の宇奈月温泉で開かれた。神奈川県藤沢市の江の島や、琵琶湖を望む滋賀県の奥比叡ドライブウェイなど12道府県の14カ所が「日本百名月」の鑑賞地に初めて認定された。今後、現地調査し数年かけて100カ所まで増やしていくという。
日本百名月は、夜景情報を発信する一般社団法人「夜景観光コンベンション・ビューロー」(東京)が発案し、約4700人いる「夜景鑑賞士」が寄せた推薦などを基に選んだ。
「月夜野の月」が認定を受けた群馬県みなかみ町月夜野にある嶽林寺では、毎年秋に月見イベントを開いている。サミットに出席した住職鈴木潔州さん(55)は「イベントもあり、町全体の日本人観光客は増えてきた。これを機にまだまだ少ない外国人観光客も呼び込めれば」と期待を寄せた。
全国名月サミットは年に1、2回、満月の日に開催する予定。
妙高戸隠連山国立公園に属する妙高山は、標高2,454mの成層火山で「日本百名山」や「北信五岳」、火打山、新潟焼山と並ぶ「頸城三山(くびきさんざん)」のひとつと言われている。別名は「越後富士」。外輪山が取り巻く均整のとれた山容が気品を感じさせ、山麓に点在する高原や、野尻湖等の湖沼が一体となった独特の景観が大きな魅力である。妙高山にのぼる名月鑑賞は夜明け前が殆どのため、近隣のホテルや旅館等の施設に宿泊して楽しむ方法がおすすめ。
神奈川県藤沢市にある江の島は、湘南海岸から相模湾へと突き出た陸繋島。観光名所として全国知名度も高く、夏は海水浴やマリンスポーツ、冬は「関東三大イルミネーション」のひとつ、「江の島 湘南の宝石」等が催され、年間600万人もの観光客で賑わっている。頂上部の「サムエル・コッキング苑」内には、江の島の象徴として展望灯台「江の島シーキャンドル」がそびえ立ち、海岸線に沿った市街の夜景、夕刻なら富士山のシルエットも眺められる場所。
京都の清水寺や奈良県の長谷寺と並ぶ日本有数の観音霊場で、本堂(国宝)は滋賀県唯一の平安建築。境内は一年を通して様々な花木が楽しめ、秋頃の紅葉ライトアップは鮮やかで美しい景観を創出する。「石山寺秋月祭」は中秋の名月頃の時期に催される観月イベント。紫式部がおよそ1000年前に石山寺に参籠し、名月が琵琶湖に映えるのを眺めて「源氏物語」を書き始めたと言い伝えられる。期間中は源氏物語関連の催事や、様々なジャンルのイベントなども実施。
宮城県の松島湾内外にある大小260余りの諸島と湾周囲を囲む松島海岸、 丘陵も含めた地区を総称する松島。かつては八百島と呼ばれ、江戸時代の儒学者・林春斎が日本国事跡考に「松島、此の島の外に小島若干有り、殆ど盆池月」波の景の如し、 境致の佳なる、丹後天橋立・安藝嚴島と三處の奇觀となす」と記し、日本三景の括りが始まったとされている。四季の変化に伴い、古来より月見の名所として知られ、中秋の名月頃には観瀾亭の夜間営業を行っている。
2014年に開業した、大阪市阿倍野区に立地する日本で最も高い超高層ビル「あべのハルカス」。58階から60階に位置する展望台「ハルカス300」は、東京スカイツリー、東京タワーに次ぐ3番目の高さを誇る。58階は上空まで吹き抜け構造で、屋外広場「天空庭園」は各種イベントも実施。60階の「天上回廊」はフロア全体が総ガラス張りで、360度の大パノラマを楽しむことが可能なため、併設するカフェレストランから、月の出に合わせて名月鑑賞できる特徴を持つ。
首里城は中国と日本の建築様式をミックスした琉球建築で、那覇市を見晴らす高台にある琉球王国かつての王城。識名園は、琉球王家最大の別邸に造られた、池の周囲を歩きながら景色の移り変わりを楽しむことを目的とした廻遊式庭園。これらはユネスコ世界遺産(琉球王国のグスク及び関連遺産群)にも認定登録されている。福州園は中国福建省福州市と那覇市の友好都市締結10周年、那覇市市制70周年を記念して造られた異国情緒にあふれる中国庭園。沖縄を代表する建築様式と名月が相まって悠久の美を魅せる。
1966年5月に開通。比叡山ドライブウェイより北に位置するドライブウェイで、延暦寺への参詣道路として造られた。根本中堂から西塔・横川を抜けて仰木に至る全長11.8kmの有料道路。「びわこ展望台」は、雄琴側から上って初めて到着する展望台で、駐車場から車に乗ったまま琵琶湖沿いの大パノラマが鑑賞できる。駐車場、望遠鏡、トイレ等の設備も充実。さらに先の「峰道レストラン」にも望遠鏡付きの展望スペースがあり、琵琶湖の上空に名月が楽しめる。
「宇治公園」は、宇治川の中州に浮かぶ塔の島・橘島の総称である「中の島地区」と「よりみち公園」の総称。四季を通じた様々な催しで多くの観光客が訪れている。塔の島にそびえる、高さ15mの石塔は重要文化財に指定。「宇治橋」は日本で初めて架けられた橋として、日本三古橋のひとつでもある。上流側の橋西詰から三つ目の柱間に張り出した場所を「三の間」といい、守護神「橋姫」を祀った名残や、豊臣秀吉が茶の湯の水を汲ませたところという逸話が存在。
北海道最大の190万都市、札幌市を眼下に眺める藻岩山。標高は531m。藻岩山麓駅から中腹駅まではロープウェイ、そこからは徒歩か世界初のミニケーブルカー「もーりすカー」で山頂へ向かう。展望台、観光道路は札幌振興公社が運営しており、2015年に認定された「日本新三大夜景」としても観光客へ積極的なPRを実施。山頂展望台内のレストラン「THE JEWELS(ザ ジュエルズ)」や札幌市紹介スペース「スターホール」の最新3D映像演出等の見どころも多い。