1)日本百名月の認定登録地の魅力や特徴を教えてください。
月夜野の名前で連想するように、月がきれいに見える場所です。
2)最もおすすめの時期はいつですか?また観光客に事前に知っておいて欲しいことはありますか?
月を見るならやはり中秋の名月の頃が良いと思います。また月夜野はりんごも美味しい場所で、特に「ぐんま名月」は月夜野の地名とあいまって特に人気があります。
3)その他、担当者だけが知るトリビアなどがあれば教えてください。
月夜野と言う地名は、36歌仙である源順(みなもとのしたごう)がこの地を訪れた再に「よい月夜の~」と言ったことから由来している説がありますが、実際は水辺につきでた場所で、縄文時代のころにはその名があったと言われています。水辺のその場所は社があり神聖な場所であり。水位が下がり河岸段丘になり月を眺めるのに適した場所になったとのことです。
4)日本百名月ブランドを生かして、今後どのように地域を盛り上げていきたいですか?
指月会だけでなく他の所でもお月見のイベントなどができるようにしたいです。
5)予定しているイベント企画やプロモーションがあればぜひ教えてください。
近々ではありませんが、毎年中秋の名月に、月夜野のお月見「指月会」を開催しております。
6)日本百名月推進委員会(事務局)に期待すること(企画等)があれば教えてください。
月をめぐるツアーなどを造成してほしいです。
7)最後に。このページをご覧いただく皆様に一言メッセージをお願いします。
月夜野地区は、月が美しいのはもちろんですが、温泉もあり、縄文時代の遺跡、戦国時代の城、おいしい果実もありますので、是非一度足を運んでいただけたらと思います。
その他、担当者からとっておきの情報をご紹介します。
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全国に月にまつわる地名はたくさんあります。 月輪(京都)、月ヶ瀬(奈良)、三ヶ月(松戸市)、月夜野町(群馬県)、十六夜(島根県)、月見町(富山市、新潟市)、月見(福井市)、月町(新潟市)、月潟村(新潟県)、上秋月(福岡県甘木市)、月丘町(山口県徳山市)、月島(東京都)、月見ヶ丘(宮崎市)、月岡(三条市)、月崎(松前郡)、つきみ野(神奈川県大和市)、月浦(水俣市)、三日月町(兵庫県と佐賀県)、名月(多賀城市)、月出(熊本市)、愛知県・静岡県境に月という村が多数ある。 そうしたなかでも、月夜野という地名は2021年に、妙にかっこいい3文字以上の地名で全国1位になりました。おかげで私たちの単なる地元贔屓ではなく、圧倒的な魅力をもつ地名として誇りを持てることを改めて知りました。 ところが、この月夜野をはじめとする多くの月の地名は、月由来のものではなく地形由来の地名であることは意外と知られていません。地元では、三十六歌仙のひとり源順(みなもとのしたごう)が東国巡業のおりにこの地を訪れ、山からのぼる月を見て思わず「おお、良き月よの〜」と言ったとの伝説が定着していますが、それがあくまで伝説であり史実でないことは、みなかみ町の周辺に7カ所もの月夜野地名があること、山梨県道志村にも月夜野の地名があることからも容易に推察できます。 そしてこれら各地にある月夜野の土地を訪れると、どこも突き出た台地状の地形という共通の特徴を確認することができます。 地名研究の領域でもこの地名は、 「谷間ではあるが、河流より一段高い段丘上などに見られる地名」とし、この月夜野も「利根川本流と赤谷川がつくる段丘と段丘の間の氾濫原(ノ)中の微高地(ツキ)」と確定されています。「つき(高所)」という意味と、「よ(間)」の意味に「の(野)」が合わさった地名で、「高くなった所の間の野」のことです。「よ」という言葉は、「二つのものの間」のこと。楠原佑介他編著『地名用語語源辞典』(1983年) とされています。 こうしたことから、月夜野以外の月の地名、月ヶ瀬、大月、月町なども、月ではなく東京の築地(築地の東にある月島も同じ)と同じく地形由来であることがわかります。 だからと言って、月と関わりない地名であったのかと悲嘆する必要はありません。 突き出た台地状の地形のもう一つ共通した条件に、「水辺に突き出た」地形という特徴があります。 各地の古社の立地を調べた中沢新一(思想家、宗教学者、哲学者)は、縄文海進などの海面が現代よりも高かった時代、水辺に突き出た場所に古い社(やしろ)が共通して立地していることを立証しました。水と生命、水と人類が密接な関係にあることはもとより、水と月が文化の歴史でも深い繋がりを持つことは広く知られています。 また、社がない場合でも、縄文遺跡が多く発見されることなども共通しています。 つまり、水辺に突き出た高地は、おそらく文字が普及するはるか前から、何らかの神聖な場所としての呼び名(地名)が定着していたものと思われます。 これは文字という記録が生まれる前の歴史を立証する貴重な情報であるだけでなく、神聖な場所の多くが、後に月の字を充てられるようになった背景としても理解できます。 (「百名月」の各地選定の条件としても、とても大事なことと思います。) みなかみ町の月夜野をはじめとする7ヶ所の月夜野の土地も、およそ20万年前に現在の地形が生まれたきっかけとなった古沼田湖が誕生し、その水位が徐々に下がるにしたがって河岸段丘が形成され、いつの時期かは特定できませんがその水辺に突き出た場所が「ツキヨノ」と呼ばれるようになったことが伺えます。事実そうした場所に月夜野神社(現在の神社は、明治時代の一村一社令でいくつもの神社が合祀されているのでその性格は薄れています)があります。 はるか縄文時代以前の昔から、神聖な場所として位置付けられていた場所が、水とも深い関わりをもつ月に因んだ場所であることは、おそらく月夜野以外でも多くの場所で確認できることではないかと思います。 月にまつわる地名や場所は、このような長い自然史的、文化史的背景を持っているので、まだまだ多くのことを探求し続けなければなりません。