庭園から愛でる名月は大正時代建築との競演が見事だが、11月頃に行われている夜間開園は紅葉のライトアップに加え、イベント「竹あかり花あかり」を実施。月あかりと竹灯籠による夜の庭園を楽しんでもらいたいという想いから、ろうそくの灯りによって異なる夜の風景を創り出す。他にも竹灯籠の室内特別展示やインスタレーション、特別に用意された和菓子と抹茶、篠笛と日本舞踊など、工夫を凝らした日本文化を伝えている。
大都市・東京の西新宿エリアには数多の高層ビル群が乱立するが、高層ビル群の合間から見上げる名月鑑賞はシンボリックで近未来的。一方、高層階のレストランや客室から望む名月は新宿の夜景と相性良く競演を果たす。建設当時、同施設におけるホテルの窓は、全ての部屋に太陽の通り道を意識して膝高の広い窓が設計された。この「1部屋1太陽設計」という、おもてなしの想いが込められた造りは名月鑑賞にも最適だ。
今回認定された岐阜城は名月撮影の人気スポットとして写真愛好家からも元々人気が高い場所であった。岐阜城の背景に名月がのぼる光景は、まるで築城された時代を彷彿とさせるようなインパクトを醸し出し、贅沢な月と夜城の競演を魅せている。また中秋の名月である8月15日は、450年前に織田信長が岐阜に入城した日と同じであるという一説も有名な言い伝えだ。
これらの名月を楽しむことができる手段としては、日本初の工場夜景を愛でるクルージングツアー「工場夜景ジャングルクルーズ」もそのひとつ。陸上から眺める工場プラント群とは異なり、海上から眺めることによって、周囲に余計な構造物の光や道路照明の明かりに邪魔されることがない。大きな海と広い夜空の中に浮かび上がる、2つのシンボリックな夜景を眺めることができるのだ。
月が輝く夜には、湖上にのぼる月明かりが水面を神秘的に照らし、道路の明かり、遠方の街明かり、そして月明かりが競演した夜景が望める。また、周囲の森林に切り取られてうっすらと浮かび上がる湖はより美しさが際立つ。また同施設では、名月をテーマにした宿泊プランや月にちなんだ飲食メニューが提供されるほか、満月の夜にはレストランのテーブルがほのかにライトアップされるなど、夜の多摩湖と月を眺めるための取り組みも実施。日常から離れ、優雅なひと夜を過ごせる場所となっている。
夜空にシンボリックに際立つ名月は島内のあらゆる場所から鑑賞可能。眺めるポイントによっては、“サトウキビ畑と名月”という石垣島特有の情景が楽しめる。島の人々の思いが強く込められた八重山民謡の名曲「とぅばらーま」は有名で、昭和22年以降、旧暦8月13日の夜に文化イベントの「とぅばらーま大会」を開催。月明かりの下で唄われる古の名曲&名月鑑賞をぜひ体感してもらいたい。