彦根藩4代藩主の井伊直興により1677(延宝5)年に造営が始まり、2年後の1679(延宝7)年に完成したと伝えられている玄宮園。隣接する彦根藩の二の丸御殿でもあった楽々園とともに「玄宮楽々園」として、1951(昭和26)年に国の名勝に指定された。彦根城の北東にある玄宮園は、一説によると中国湖南省にある洞庭湖の瀟湘(しょうしょう)八景、または近江八景を取り入れて作庭されたともいわれている。彦根城天守閣を背景に広大な池水が配されており、池中の島や入江には9つの橋が架けられた趣のある回遊式庭園になっている。池の畔には彦根藩の賓客をもてなすための客殿「鳳翔台」が残っており、庭園を眺めながら抹茶とお茶菓子を味わうことができる。
毎年9月下旬から10月上旬にかけて、ライトアップされた国宝天守と名月を愛でながら秋の虫の音を楽しむ「観月の夕べ」を開催。この時期に聞こえる虫の音はスズムシ、マツムシ、コオロギなど。優しく囁く虫の音を聞きながら玄宮楽々園にのぼる月を眺めるひとときは、数百年変わることのない趣と情緒に溢れている。優しく灯された池水を照らす明かりと夜空に浮かぶ月との競演も見事だ。「観月の夕べ」では、雅楽や筝曲など伝統的な邦楽演奏のほか、地元の高校生や大学生が奏でる管楽器や弦楽器の音色がイベントを盛り上げる。また毎年11月下旬から12月上旬には「錦秋の玄宮園ライトアップ」を開催。もみじ色の木々を美しく彩るライトアップは、日中の雰囲気とはまた違った景色を見せてくれる。鳳翔台ではお茶席を用意(予約制)。紅葉のライトアップを眺めながらお抹茶と茶菓子を楽しめる。
※催事は新型コロナウイルスの感染症の状況に応じて開催を検討。また催事内容は変更される場合もあります。詳細は公式HPまで。
画像提供:彦根観光協会