『日本百名月』認定登録地

認定登録第63号 【種別:B類】

「海中鳥居を照らす月」 (佐賀県太良町)

佐賀県の西南部に位置する太良町。霊峰多良岳を頂点とし、有明海に向かってほぼ扇状に広がる地形から、有明海と深く関わってきた歴史を持つ。有明海に建立された3基の海中鳥居には次のような伝説が語り継がれている。「約300年前、悪代官に手を焼いた住民が、有明海に浮かぶ沖ノ島に誘い酒盛りをし、代官を置き去りにした。満ちてくる潮で島は沈みかけ、代官が竜神様に助けを求めると大魚(ナミウオ)が出現。代官を背中に乗せ岸へと運んだ。感激した代官は、大魚神社と海中に鳥居を建立。以後、海の安全と豊漁祈願が行われ、住民の暮らしも豊かになった」と。この鳥居は30年ごとに建立する習わしが今も受け継がれているのだ。なお、海中鳥居のそばには干潮の時に姿を現す海中道路があり、漁業時の荷揚げ用の作業用道路して活用されている。


太良町は日本最大級の干満差を誇る地域で、その差は最大6メートルにも及ぶ。潮の満ち引きは月の引力によって起こることから、太良町のキャッチコピーは「月の引力が見える町」。その光景は海中鳥居を眺めれば一目瞭然だ。鳥居は満潮時になると、まるで海に浮かんでいるかのような姿となり、干潮時には参道が現れ、鳥居の下を歩くことができる。潮汐によって海中鳥居と月のコントラストも移り変わる神秘的な光景は、観る者の心を奪うほど美しい。また毎年8月には、地域の子どもたちが制作した灯篭約1000基が海中鳥居を照らす「千乃灯篭まつり」も開催している。

画像提供:太良町

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