『日本百名月』認定登録地

認定登録第62号 【種別:A類】

「潮見峠にのぼる月/三体月観月会」 (和歌山県田辺市)

全国に約3000社ある熊野神社の総本宮「熊野三山」への近世の参詣道として知られる熊野古道。潮見峠越ルートは、15世紀初頭の古文書に「塩見坂」の記述があることから14世紀には開かれたと考えられ、室町期以降は田辺から高原への近道として頻繁に利用されるようになった。2016年10月に世界遺産「紀伊山地の霊場と参詣道」に追加登録された。潮見峠からは田辺湾・白浜を一望できる。石畳や関所跡、安珍清姫伝説が残る捻木の杉が点在する古道を歩けば、平安時代から鎌倉時代にかけて登った多くの参拝者たちの息遣いが聞こえてくるようだ。


毎年旧暦の11月23日、この地に伝わる「三体月の伝説」にちなみ、中辺路町観光協会では「潮見峠の三体月観月会」を開催。この伝説は、熊野三山で修験者が三体の月を見て神変不可思議な法力を得たと村人に伝えたといわれるもので、山の端より登る月が三体に分かれて見えるという。観月会では語り部による伝説についての解説や、和楽器、和太鼓による演奏を実施。住職による読経が月の出現を待つ合図となる。深夜に行われるため、参加する際は近隣の宿泊施設に宿をとり、参加するのがおすすめ。月夜はもちろん、標高約540メートルの潮見峠から望む満点の星空も圧巻だ。

画像提供:田辺市

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