『日本百名月』認定登録地

認定登録第55号 【種別:A類】

「采女神社・猿沢池にのぼる月/采女祭」 (奈良県奈良市)

奈良市にある采女神社(うねめじんじゃ)は、奈良公園内の名勝・猿沢池の西北畔に鎮座する春日大社の末社である。「大和物語」によると、奈良時代、天皇の寵愛が薄れたことを嘆き、池に身を投じた采女(身の回りの世話をする女官)の霊を慰めるために創建された。鳥居に背を向けるという特徴的な本殿だ。かつての悲恋伝説が残る場所だが、現在は縁結びの神として知られている。


この地では年に一度、中秋の名月に例祭「采女祭」を開催。地域の人々からのあつい信仰を受けており、戦後からは神事だけでなく、管絃船の儀などの行事も加わり、さらに盛大に行われるようになった。本祭の開始は17時頃。駅前を起点として猿沢池まで約200名が練り歩く「花扇奉納行列」から始まる。花扇を取り囲み、十二単姿の花扇使や天平衣装を纏った人々らが、優美な行列を創出。18時頃から采女神社にて例祭(花扇奉納神事)が行われ、祭典後に雅楽が演奏される中、猿沢池に花扇を投じる儀式「管絃船の儀」が執り行われる。池の周りは提灯に囲まれ、水面に浮かぶ灯籠、船上の松明、夜空に輝く名月等、時代を経ても受け継がれた明かりが壮麗な輝きを放つ。ひとつひとつの光が見事に調和され、幽玄な水上舞台を創出しているのだ。京都の大覚寺や高知の桂浜等と共に名月の美観が広く知られる猿沢池。本ブランドでは、池と采女神社をふたつの鑑賞地、さらに采女祭を総じて「日本百名月」に認定した。

画像提供:采女祭保存会

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