柳川市は福岡県の南部、筑後地方の南西部に位置する。市内を掘割が縦横に流れることから水の都と呼ばれる。鰻料理、掘割を使ったお堀めぐり(川下り)、旧藩主立花氏の別邸「御花」が全国的にも有名。この御花は、1978年屋敷地の西半分が「松濤園」として国の名勝に指定された。2011年には東庭園が追加されて、屋敷地全域が国指定名勝となり「立花氏庭園」と指定名称が改められた。「からたちの花」「ペチカ」「この道」などの名作を世に送り出した近代日本の大詩人・北原白秋の生誕地でもある柳川。生涯柳川を愛し、「思ひ出」「水の構図」などの詩集を開くと、柳川の風景をつづった詩が数多く残されている。2014年北原白秋の作品に描かれた市内の風景が国の名勝に指定。白秋の詩集の中で柳川を「水郷柳河」と表現していたことから指定名称にも「水郷柳河」が使用されている。
柳川の風物詩「川下り」は、1954年に白秋の少年時代を描いた映画「からたちの花」が公開された後に「あの川遊びを」との問い合わせが相次ぎ、誕生した。四季折々の花木が薫る様子やどんこ船からの景色が一年を通して楽しめる。中秋の名月の頃には「観月船」が運行。船に揺られ、「水上あんどん」や「ほたる灯」が水面に映り込む情緒ある雰囲気の中、秋の澄んだ空に昇る名月を鑑賞できる。夏から9月には夜の川下り「灯り船」や「納涼船」、白秋の命日の11月には「ほおずき提灯」や「行燈」で飾られた約70隻の船が夜の掘割をパレードする「白秋祭水上パレード」等が催され、月明かりの下で川下りが楽しめる。様々なイベントを通して月明かりを楽しめる水郷柳川を「日本百名月」に認定。